はじめに

事業をやっている方ならインボイス制度という言葉をどこかで聞いたことがあると思います。制度開始まで1年を切ったこともあり、様々な団体で様々なセミナーや情報提供が行われていますし、様々なサイトで記事が書かれています。

それでも、インボイス制度についてよく分からないというお声を聞き、ご説明させていただくことがよくあります。そもそも消費税の仕組みが分かり辛いことと、制度の内容自体も複雑であることが大きな理由なのではないかと思います。

ですので、今回は難しい制度概要や細かいお話を全て飛ばし、どんな事業者にどのような影響があるのかを書いてみたいと思います。詳しい制度内容につきましては色々な情報があふれるほどありますのでそちらをご確認ください。

消費税の申告をしている事業者(課税事業者)への影響

もうご契約されている税理士の方からご説明を受けている方が多いと思いますが、改めて具体的・直接的にどのような影響があるのかを確認してみてください。自社の対応だけでなく、取引先がどのような対応をされるかにも注意する必要があります。

事務処理対応が増えます

インボイス制度が始まると、発行する請求書に記載事項を追加しなければなりませんので、その対応時の負担が増えます。また、取引先が制度を適用するかどうかの確認作業も出てきますので、導入のための負担がでてきます。

さらに、受け取る請求書の確認すべき事項が増えることと、立替経費等の取引には特殊な対応が必要となりますので、制度開始後も継続して事務対応の負担増となります。加えて導入からしばらくは税負担を和らげるような移行期間のための対応が必要となりますので、そちらも地味に対応の負担が増えてしまいます。

未登録の事業者(免税事業者)と取引すると損します(例外あり)

インボイス制度は、適用しないという選択肢をとることができます。その適用しない事業者に適用した課税事業者が経費等の支払いをすると、消費税の部分で適用した課税事業者が損をすることになります。制度導入直後は移行期間として損する割合が少なく設定されていますが、時間の経過と共に損をする割合が大きくなります。

ただ、消費税の簡易課税制度を適用している場合は例外として、取引先が適用を受けるかどうかは関係がありません。もし簡易課税制度を適用しているかどうか分からない場合には、税理士に確認してみてください。

以上のことから、消費税が簡易課税制度ではないインボイス制度適用の事業者は、取引先が登録事業者となるのかどうかの確認が重要となってきます。取引先が規模の大きな会社ばかりだったり、数が限られていれば確認の負担は少ないですが、フリーランスの方や小規模の事業者との取引が多い場合には注意が必要です。

消費税の申告をしていない事業者(免税事業者)への影響

規模が小さい事業者に加えて事業を始めたばかりの個人や設立したばかりの法人もこちらに当てはまります。
もし現在消費税の申告をしていなくても登録すれば制度の適用を受けることができますが、その場合は消費税の申告が必要となりますので、上記の「消費税の申告をしている事業者(課税事業者)」と同様の影響が発生します。

登録している事業者から取引が減らされる可能性

上述しました通り、インボイス制度に対応する事業者は、対応していない事業者と取引をすると損をしてしまいます。対応している事業者が対応していない事業者との取引をどうするかは東京商工リサーチがアンケートを公表しています。(https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220820_02.html)
こちらでは、対応しない事業者とは取引しないという割合が約10%、取引価格を引き下げるという事業者が約2%となっています。現在検討中の事業者が50%弱とおよそ半分ですので、仮に方針が決まっている企業の割合に当てはめてみますと、取引をしない割合が約18.5%、価格を引き下げる事業者が約4%となります。

この数字をどう判断するかは難しいところですが、私自身はかなり大きいと感じています。二つを合計すると約22%が取引に影響すると回答されていますので、対応しようか迷っている事業者は取引先と状況を確認する等、何らかの動きを起こしたほうが良いのではないでしょうか。

一時的な対応としましては、取引先が損をしないよう一部消費税を受け取らないといった方法があると思います。経過措置に合わせて先方と相談しながら、取引を継続できる対応ができれば大きな問題となりませんが、取引先が多い場合にはその対応の手間が負担となってしまうかもしれません。

取引先が事業者ではなく一般消費者の場合

マッサージ、美容室といったサービス業や小売業でお客様が一般の消費者である場合は対応しないことによるマイナスはありません。取引先が登録していない事業者ばかりの場合も同様です。インボイス制度はあくまで登録事業者の取引に影響があるものですので、登録事業者を介さない取引(未登録×未登録、未登録×一般消費者)の場合は対応不要です。

おわりに

インボイス制度につきまして、税制の難しそうな部分を極力避けながらどのような影響があるかを事業者別に記載してみました。制度の開始日である2023年10月1日から適用を受けるための届出期限も迫っており、もう届出を出そうとされている方もいらっしゃると思いますが、制度内容の変更や開始期限の後ろ倒しのような可能性がまだあると個人的に考えています。どんな事業者に対してもそれほど大きな影響を持つ税制改正でもありますので、焦らず動向を見守りながら、上記の内容をご参考に準備を進めていただけますと幸いです。

最後までお読みいただきましてありがとうございます。
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