決算書の数字、把握できていますか?

数字の羅列では頭に入らない

試算表や決算書を見て、数字がパッと頭の中に入ってくる人はどれくらいいるでしょうか?
税理士として毎日数字に向き合っていても、数字の羅列を瞬間的に理解することは難しいと感じています。

1つの決算書だけでも頭に入ってこないのに、過去や予算との比較を加えると更に困難になり、
「今期はこの数字が良かった」、「比較するとこの数値が伸びている」といった点でしか把握できないことも多々あるのではないでしょうか。

図やグラフにすると感覚でも把握できます

視覚で数字を捉え、感覚で把握できるのが図やグラフの良いところだと思いますが、うまく利用できているでしょうか?
正確な数字を見ることも大切ですが、図やグラフを使って感覚でも把握しないのはもったいないと思います。

過去や予算との比較、これまでの推移を理解するならグラフを利用し、利益や費用の構造を理解するなら図にしてみてください。
下記の数字とグラフを見ていただけると、グラフの方が数字の凹凸や変化の様子がより把握しやすくなることが分かっていただけると思います。

解説も加えてより分かりやすく

数字とグラフに加えて、変動の理由まで分かれば困ることはありません。
上記の8月は何故売上が伸びたのか、5月の営業利益率の高さと、6月の営業利益率の低さは数字だけ見ていても分かりません。そこで、内容を把握するために、その原因の解説が必要となります。

6月に残業を増やして準備した案件が8月に売上へとつながったため、6月の利益率が低く、8月の売上が高くなったというように、結果には何らかの原因が隠れています。その原因を会計から読み取り、解説させていただきますので、より分かりやすく数字の把握ができるお手伝いをいたします。

どう見れば良いか

複数の数字を比較する

単月や単年度の数字も現状や結果の把握として大切ですが、予算との比較や過去からの推移も重要であると考えています。
素晴らしい売上や利益が出ていても実は今年の後半から減少傾向であったり、過去最高の売上ではあるものの売上予算には到達できなかったりと、複数の数字を比べることで分析が可能となります。

予算についてはざっくり頭の中にあるだけで、具体的に数字にしていないという会社も多いのではないでしょうか。
たとえ高い精度で作りこむことができなくても、目標と現実を比較するために形にしておくと色々役立ちますので、ぜひ作成してみてください。もちろん当事務所ではヒアリングからの作成サポートも行っています。

重要な指標を選定する

試算表や決算書には多くの数字が記載されています。会社や業種にもよりますが、貸借対照表、損益計算書、販売費および一般管理費を合わせて100を超える会社も少なくありません。これが過去や予算との比較となると1つ1つ確認するのは困難になりますので、注目すべき科目や指標の選定が必要不可欠となります。

見るべき数字の選定は業種やタイミングによって様々です。建設業や製造業であれば売上総利益率が重要となりますが、その中で材料費に注目すべき会社もあれば、労務費に注目すべき会社もあります。個々の会社にとってその時に重要な指標を選定し、過去や予算と比較して図やグラフを使って把握することで、数字の理解が進み、状況を適切に把握することが可能となります。

決算書には載らない数字

見るべき数字は決算書以外にもたくさんあります。
売上高であれば商品別や取引先別の数字に加え、小売業であれば時間帯別や曜日別の数字も重要になるかもしれません。製造業であれば工程別の手直し率や廃棄率、そして作業時間というように、多くの指標があります。

会社がいま注目すべき数字を考え、集計し、分析し、管理し、そして問題があれば改善させなくてはなりません。どんな指標が問題で、改善する必要があるかは調べてみないと分からないことも多々ありますので、重要な指標は常に把握しておくことも重要となります。